豊かな自然と歴史の中で、良き酒を醸しつづけて約百年 河内酒造

毎年、春になると、各地で酒蔵開きが目白押し。
こちら対馬の蔵元「河内酒造」でも、去る3月2日、蔵開きが開催されました。
このときばかりは誰でも蔵の中に入って、酒づくりの工程を見学したり、新酒を試飲したりできるとあって、毎年大勢の「河内酒造」ファンで賑わいます。
ほのかに漂うもろみの甘い匂いに包まれ、蔵元ならではのお話を聞きながらいただく新酒の味わいは格別です。

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さて、この「河内酒造」は、九州最北端の国境の島 対馬で唯一の造り酒屋。
創業は大正8年。豊かな自然と歴史の中で、良き酒を醸しつづけて約百年にもなります。
「河内酒造」で造られる酒や焼酎は、基本的に対馬の島内で消費され、全国的にあまり出回っていないため、稀少な存在です。
代表的な日本酒の銘柄は、「白嶽(しらたけ)」。
白嶽とは、古来より崇められた対馬の霊峰のなまえです。
昔ながらの製法で造られ、やや甘口で飽きのこない味わいの「白嶽 上撰」は、島内でのシェアは80%を誇ります。ほとんど島の中で飲まれてしまうため、島外で売られるものはごくわずか。島民が愛してやまない地酒の味は、ぜひこの島で、海の幸山の幸とともに。
また、「白嶽 大吟醸」は、好適米とされる山田錦を35%にまで磨き、低温仕込み・長期醗酵で生まれる華やかな香りとまろやかな口当たりが魅力の贅沢な逸品です。
米・麦焼酎「対馬やまねこ」は、麦焼酎に米焼酎をブレンドした珍しい麦米焼酎で、麦の香りと米の甘さが生きています。まろやかでやわらかいのどごしは、焼酎の苦手な方にもおすすめです。
ネコや肉球をモチーフにしたボトルのラベルも、とてもかわいいと評判です。
ちなみに、この銘柄は、対馬の隠語で「密造酒」を意味する「やまねこ」と、島に生息する天然記念物のツシマヤマネコをかけて命名されました。
他にも、季節限定の生酒やにごり酒、「伊藤」という社長の姓をそのまま使った芋焼酎や、吟醸古酒を使った梅酒、和蜜(希少なニホンミツバチの蜜)で作った蜂蜜リキュール「蜜島」など、こころ躍るラインナップです。

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